歴文館日誌をご覧の皆さま、新年あけましておめでとうございます。
本年も、もりおか歴史文化館を何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、2018年のうちに更新するはずだった「企画展の窓から」ですが……て、手元の暦では…本日は201…8年、12月35日となっておりますので、なんとか期日には間に合ったようですね。ね。
一安心、ひとあんしん。

 

さ、それでははじめましょう。今回まずご紹介いたしますのはこちら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

企画展の第1章「先史の器」です。

「戦士の器」ではありません。「先史の器」です。
文字にすると「戦士の器」の方がかっこいいですが、内容が全く変わってしまうので「先史」でお願いします。

「先史時代」という言葉をご存知ですか?考古学の用語で、英語では「Prehistory」と言います。
「pre=前」「history=歴史」ですから、「歴史時代の前」と言った意味になるでしょうか。
「歴史時代」とは、文字による記録が残されるようになった後の時代のこと。
その前の、文字記録がない(文字がない)時代のことを「先史時代」と呼ぶわけです。

そんな時代のことを、知りたいと思ったら何を手掛かりにできるでしょうか。
歴史時代のことであれば、文字資料からさまざまな情報を得ることができますが、先史時代にはそれがないわけです。
日本では古墳時代の中頃、5世紀頃から文字記録が現れ始めますから、それ以前は先史時代にあたります。
古墳時代以前のことを、私たちはどうやって知ったのでしょう。

答えは「モノ」です。

「文字がないならモノを見ればいいじゃない?」ということですね。
その「モノ」こそ、本企画展で言うところの「器」のなかで最古の資料になるわけです。
今回展示室で実際にご覧いただける先史の器は、「土器」・「石器」・「骨角器」の3種類。
いずれも名前からして立派に「器」が付いています。

 

 

 

 

 

 

こんな感じですね。
長々と先史時代の説明をした割に、資料はケース1つ分ですみません。

ちなみに、右上に写っているのが盛岡市内最古の遺跡である小石川遺跡から出土した
13000年前(旧石器時代)の「尖頭器」。石でできた槍の穂先の部分です。
言わずもがなではありますが、今回の企画展で最古の展示資料となっております。

奥側左から2番目にあるのは、「深鉢型土器」。
縄文時代晩期の遺跡である手代森遺跡から出土したものです。

近くで見るとこんな感じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

アップの画像がなかったので突然のイラストで失礼します。

縁に謎の凹凸があると思ったら、なんとクマの顔が付いているのです。
この絵がそう見えるか見えないかについては、論点がずれるのでここでは触れません。
一方はクマの成獣、もう一方は幼獣の特徴が表れています。
厳密には成獣と幼獣の顔だちの違いは私にはわかりませんが、表れているそうです。
「成獣と幼獣はどう違うの?」という質問は、論点がずれるのでここでは受け付けません。
2頭クマの顔の間にも謎の突起がありますが、向かい合ったクマであるとすれば、もしやこれはお手てなのではないでしょうか?
そうだとするとこの土器は、親子のクマさんが向かい合ってお手てをつないだ様子を表した、世にも可愛らしい萌え萌え縄文土器と言えるでしょう。

実物はぜひ会場でご覧ください。

 

実物は…と言えばもう1つ、展示室の中でもひときわ目を引くものがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらのコーナーです。

巨大縄文土器です。
器高93㎝。国内でも最大級の縄文土器です。でかいです。

の、原寸大パネルです。
実物は盛岡市遺跡の学び館で展示されています。
そちらもぜひ。

なぜ実物もないのにわざわざパネルを展示しているかと言いますと、そこにはちゃんと訳があります。
もういつのことか忘れてしまいましたが、担当学芸員は、初めてこの土器を見た時に思ったのです。

「デカい…このデカい土器に、入ってみたい…!」と。

もちろん本物には入れません。
文化財保存的な意味でもそうですが、底の方がとっても細いので物理的にも非常に困難です。
そこで今回考えたのが、「でっかい土器に入ってる風の写真が撮れるフォトスポット」だったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

斜めから見るとこうなってます。
大人の方でしたら、イスに座るとちょうど良くひょっこりはんできる感じです。
お子様ですと、立って撮影された方がナイスひょっこりはんになると思います。

展示室内は撮影禁止なのですが、この一角だけは撮影OK。むしろ撮ってほしいところです。
写真を撮る方があまりいらっしゃらなくてさびしいので、これからいらっしゃる方はぜひ撮ってください。

   

 

 

 

 

 

 

 

こんな写真が撮れます。(左は当館の畑中美耶子館長)

なお、お1人でお越しの方で撮影をご希望の方も、どうか諦めずに受付スタッフにお声がけください。
そのスタッフは受付を離れられませんが、別のスタッフが駆けつけてシャッターを押させていただきます。

展示を見るもよし、写真を撮って遊ぶもまたよしの企画展「器百様」は2月11日までの開催です。
お正月休みはそろそろ終了の方が多いかと思いますが、お天気の良い週末にはぜひ歴文館へどうぞ。

 

【次回予告】
次回、『企画展「器百様」の遊び方 その弐』は、来週か再来週あたりを予定しております。

 

担当学芸員:福島茜