皆さま、新年あけましておめでとうございます。
もりおか歴史文化館では、この度ひとつ新しい試みを実施中です。
その名も「歴文館コレクション」!

もりおか歴史文化館(=歴文館)の収蔵品(=コレクション)はすべて「歴文館コレクション」なわけではありますが、トピック展示と申しますか、「常設展のどこかに特定の共通点を持った資料を集めてみよう」といったような趣旨で始めたものです。
記念すべき1回目の歴文館コレクションは題して「歴文館コレクション2017 ”珠玉の酉”」!!!!

タイトルの通り、今年2017年の干支である「酉(鳥)」を題材にした資料を集めて展示しております。
今回は絵画資料に限定しまして、吟味に吟味を重ね、集めに集めたその資料数!なんと! 7点。

少ないと思われる方が多いことでしょう。
はい、確かに数は少ないです。しかしご安心ください。
これがなかなかどうして見ごたえのある鳥さんたちなのです。

ここで、その貴重な7点うちの1点を写真でご紹介します!
7点しかないので1点だけのご紹介です。他の6点は展示室でご覧くださいね。

 

ご紹介するのはこちら。

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川口月嶺 筆 「軍鶏図」

 

描かれているのは軍鶏(シャモ)、ニワトリの一種です。
体が大きく闘争心も強いので、闘鶏用に育てられることも多いほか、観賞用や食用にもなります。

太くたくましい脚をシュッとクロスさせて振り返り、何かを凝視する軍鶏。
画面から伝わるのは、力強さや雄々しさ、そしてふわっふわの羽毛の柔らかさ・・・
どちらをとっても軍鶏の生命力が伝わってくる、ありきたりな表現ですが、今にも動き出しそうな絵です。

ざっくり大胆な筆運びにも見えますが、見れば見るほど気が付くのは、部分部分の羽毛の生え方や硬さ、筋肉の動きなどの写実性です。
首元や背中はふわふわと柔らかく短い羽毛、長く張りのある尾羽との差は歴然です。
足元に目を移すと、地面をガッチリつかむ右足に対し、左足はかかとが地面から離れていますね。
このことからわかるのは、この軍鶏が棒立ちではなく、実は歩いているのだということ。

ふさふさの毛並みの美しく力強い軍鶏。
周囲を眺めまわしながら、堂々とゆったり歩いているのでしょう。
そう思うと、口元(クチバシ)にも少し余裕の笑みを浮かべているようにも見えませんか?

 

さて、こんなステキな軍鶏を描いたのは、川口月嶺(かわぐち・げつれい)という人です。

月嶺の銘(サイン)と落款(ハンコ)

 

月嶺は、江戸時代後期から明治時代の初めに生きた四条派の絵師。
生まれは盛岡藩の鹿角郡(現在の秋田県鹿角市)で、麹屋さんの次男坊だったそうです。小さい頃から絵が好きだった月嶺は、18歳の頃から30代中頃まで江戸で絵の修行にはげみ、盛岡藩に帰郷。江戸帰りの絵師の評判を聞きつけた、当時の盛岡藩主・南部利済(なんぶ・としただ)に召抱えられたのでした。

優れた絵を多く残した月嶺ですが、中でも得意だったのが、人物画と鳥獣画です。
月嶺が江戸で学んだ「四条派」は、数ある日本画の流派の中でも写生を特に重視する「円山派」の流れを汲んでいます。月嶺は動物画を得意としていたわけですが、彼らは当然動きます。それを描くには、動かない植物や協力してじっとしていてくれる人物以を描く以上の集中力と根気が必要であったことでしょう。
この軍鶏も、注意深い観察のもと、一瞬の動きと表情を捉えた作品なわけです。月嶺の確かな技術と、鋭い観察力がよく伝わってきます。

 

 

さて、ここまで長々とお付き合いくださった皆さま、大変お疲れ様でございました。
川口月嶺「軍鶏図」の魅力、写真でも伝わったでしょうか?・・・いやいや、伝わっていませんね。
やはり写真と実物は別物。実物は別腹です。
ぜひとも展示室で、実物をご覧ください。

彼(軍鶏)以外にも、イケてる鳥たちが残り6点の資料に30羽ほど描かれて、皆さまのご来館を心待ちにしております。
ご来館の際にはぜひ、ここで読んだことなどスッパリ忘れていただいて、描かれた鳥とじっくり語らい、描かれた風景のさらに奥に広がる情景や時代に思いを馳せてみてください。きっと「ただ絵を見る」「ただ展示を見る」以上の、何か豊かな時間をお過ごしいただけることと思います。

 

なお、2017年から始まりましたこのコーナー「ジョウセツ展の小窓」では、「常設」という名前のせいで「前も見たからいいわ」「いつ行っても同じでしょ?」と思われてしまいがちな常設展の中から、最新の展示替え情報と展示資料のちょっとステキなお話を、不定期に発信してまいります。小窓からちらっと展示室をのぞき込むような感じで、お付き合いいただければ幸いです。
第2回の内容は全くの未定ですが、タイトルに「①」と付けた以上は「②」も書く所存ですので、続報に乞うご期待!

 

それでは、最後になりましたが、本年も、もりおか歴史文化館をどうぞよろしくお願いいたします。