企画展「罪と罰 -犯罪記録に見る江戸時代の盛岡-」
「江戸時代は戦のない平和な時代だった」と言われます。たしかに、非常に長きにわたって大きな武力衝突が起こらなかった、歴史的に見ても大変稀有な時代であるのは間違いありません。しかしだからと言って、人々の暮らしが毎日平穏に過ぎた時代だったのかと言えば、必ずしもそうとも言えません。地震や台風などの自然災害、冷害による不作は多くの人の命を奪いました。そして何より、人がたくさん集まって暮らせば諍いが起こるもの。人には怒りや欲があり、衝動的にあるいは計画的に悪事に手を染める者は必ずいるものです。江戸時代においても多くの人が、喧嘩や殺人、窃盗、その他様々な罪を犯し、裁かれていたのです。
もりおか歴史文化館には、江戸時代の盛岡藩で起こった事件に関する史料が多数収蔵されています。この記録からは、現代人と同じように過ちを犯す江戸時代の人々の姿を知ることができ、同時に、罪を裁く役人たちの持つ現代とは異なった倫理観も垣間見ることができます。本展では、記録された数々の事件の中からいくつかに焦点を当て、そこから見えてくる江戸時代の人々と私たち現代人との間の、「罪」と「罰」に対する考え方の違いと共通点を探ります。
「罪」という、いつの時代も変わらないキーワードによって江戸時代と現代を近づけてくれる犯罪記録。それらの記録は単なる事実をつづったものですが、その事実を通じて、現代人と同じように悩み、苦しみ、愛し合い、反目し合い、喜び、悲しむ人々が、江戸時代という昔にも確かにここに生きてきたのだと、私たちに改めて教えてくれるものでもあるのです。
- 会期2023年8月11日(金·祝)〜2023年10月31日(火)
- 主催もりおか歴史文化館活性化グループ
- 会場もりおか歴史文化館 2階企画展示室
- 開館時間9:00~19:00(入場受付は18:30まで)
- 観覧料
一般300円、高校生200円、小・中学生100円 ※団体(20人以上)は各2割引
・ 盛岡市内在住で65歳以上の方、小・中学生のうち盛岡市在住・就学の方は無料
・ 障がいをお持ちの方やその介護をなさる方(障がい者1人につき1人まで)は無料