先月開催しました特別展「南部鉄器展 -受け継がれる技と美-」(2025/3/1~3/17)

特別展「南部鉄器展」は今回で4回目の開催となり、今回は南部鉄器協同組合に所属する職人20名による計39点(50種類)の作品が集まりました。

昨年から新たな取り組みとして始めた観覧者による作品投票(※最大3点まで)を今回も実施。これは実際に鉄器を使用するお客様から率直に評価していただきたいという南部鉄器協同組合・職人の皆様の希望でもあります。

 

総投票数1,380票!たくさんの投票・コメントをありがとうございます。

かなりの接戦となりましたが、今年度の観覧者作品投票トップ3を発表いたします。

 

◆第3位「鉄瓶 猫」84票/鉉含H26㎝×H17㎝×W18㎝

 制作者:澤野諒和(鈴木盛久工房)、岩手県盛岡市出身

特別展・作品紹介コメントより

猫をモチーフに2種作りました。伸びをしている親猫と子猫です。子猫の方は、指でつまんだ時に首根っこがつまれた様子になるようにしました。

 

【観覧者からのコメント(※原文ママ)】

・特に子猫がつままれている方!可愛いらしかったです!!

・猫好きなので深々と刺さりました。

・Excellent selection .I really liked the cats on the number 21. Very creative handles!

 

◆第2位「くじら鉄瓶」113票/鉉含H20.5㎝×H11.5㎝×W24㎝

 制作:三代目清重【八重樫】(岩鋳)、岩手県北上市出身

特別展・作品紹介コメントより

平成10年に製作した鉄瓶のリメイク作品。蓋を傾ける事で2つの課題をクリアしました。
①お湯の吹きこぼれを解消
②蓋をおさえる事なく片手で最後まで注げる
IHヒーターにも使え、熱源を選びません。鉄瓶のかたちが、海面から顔を出したくじらの姿と見立てて作品名にしました。

 

【観覧者からのコメント(※原文ママ)】

・モダンながらどっしりとしていて蓋を押えなくてよい、毎日の料理にたっぷり入るところも魅力、使いやすい。

・蓋をななめにつけたものを使ったことがないので、使ってみたいし、蓋をおさえなくても最後まで注げるのは良い機能だと思いました。

・デザインと機能をよく両立している。自宅もIHなので使ってみたいと思った。

・くじらの表現だけでなく使いやすさなどが生かされててよかったです。

 

◆第1位「南部砂鉄鐵瓶 夜桜」121票/鉉含H28㎝×H17.5㎝×W13㎝

 制作:田山和康(田山鐵瓶工房)、岩手県八幡平市大更出身

制作者である田山和康さんからコメントをいただいています。

「下地の漆の黒と砂鉄研きの桜の花とのコントラストが夜桜として共感を得たのではと考えています。

 また、季節柄、桜の模様付が良かったかもしれません。これからも一目見てわかるような作品づくりをしたいと思います。」

 

【観覧者からのコメント(原文ママ)】

・桜一つ一つ咲くイメージがあり、ライトアップされているようでした。

・古典的な造形美の王道だと感じました。

・自分も仕事で研磨をやるが、表面の仕上げには相当労力がかかったと思う。地の色をよく活かしていて美しい。

・どうやって作ったのか、工程を知りたいです。

 

作品を出品してくださった職人の皆様、多方面に渡りご協力いただいた南部鉄器協同組合様、そしてご来場・投票に参加してくださった皆様にこの場を借りて改めて御礼を申し上げます。特別展へのご意見や感想を参考にさせていただき、2025年度もよりパワーアップした特別展「南部鉄器展」を開催できるよう尽力してまいりますのでお楽しみに!

 

担当学芸員:小西治子